ほどき祭りを終えて
日にちが経ってしまいましたが、9月末にほどき祭りが開催されました。この日は朝からどんよりした曇りでしたが雨は降ることはなく、結果的にほどよい天候の中でお祭りが行われました。準備期間1ヶ月ほどの中で、子ども達とスタッフであれこれ考え、ほどき祭りという形になったことに素直に喜びを感じています。ここに終わってみて印象に残っていることを2つほど書き残しておこうと思います。
子どもの伸びやかな表現
子ども達の作ったもの1つ1つの表現に、爽快感のある伸びやかさを感じます。例えば、ほどき祭りのマスコットキャラクター「ウンコ夫人」。キャラクターにウンコと夫人を掛け合わせるセンスが良いですね~。手にはほどきを表すかのようなウサギのステッキがあります。ほどき祭りの文字が書かれた看板も、隠れミッキーのようにウサギのマークがこっそりと施されています。
また各ブースもそれぞれが特徴的でした。まず射的、次に射的、そして射的。7つのブースのうちなんと3つも射的。同じ「射的」という枠組みでも、やってみたいことはそれぞれ違っていました。スタッフと一緒に1つずつ形にしていき、「水でっぽうやさん」「アニメ射的」「(うまい)ボール投げ(「うまい棒」と「ボール投げ」の掛け合わせ)」と個性的な射的が生まれました。
他のブースでも、「かわいさ」を前面に押し出した「かわいいスーパーボールすくい」、転がる道の配置を考えたり、お金の回収ボックスを設置した「ほどきガチャ」、コップにお店のロゴを貼っておしゃれなカフェのように飲み物や玉ねぎパンを提供した「夜空(よぞら)」、大好きなポケモンのイーブイの景品とお菓子をたくさん準備した「だがしとくじ」のように、子ども達の「こだわり」が光っていました。ほどき祭りで使われたお金も手作りで、お客さんは1000円札に見立てた「1000とっと」を持ってブースを周りました。
そういえば、1000とっとで思い出したことがあります。ほどき祭りが始まる直前、全員で円陣を組むことになりました。掛け声は子どもに任せることにしました。何を言うのか知らないまま、円陣を組み、1人の子が大きな声で言いました。
「お金を稼ぐぞ~!!!」
「(みんなで)お~!!!」
頑張るぞ!とかじゃないんかい。金なんかい。手作り紙幣とはいえ、なんという欲深さよ。
子ども達がスタッフや友達との関係性から生み出される「個性」や「こだわり」は、これからもっともっと尖らせていってほしいと思います。なぜなら往々にして圧倒的な面白さが秘められているからです。それは、他の子と比較しようがないその子の持ち味が見えることであり、抑えていた自分を少しずつ出しながら生き生きしていくことを指しています。また私達の見方や考え方を難なく超えていくからこそ、私達自身を縛る当たり前が問い直されていくことも意味しています。
お祭りに参加した人の姿
子ども達だけでなく、保護者も楽しそうにしていたのが印象的でした。的に当てようとする中で喜んだり悔しがったり、手作りパンに美味しさの笑みを浮かべたり。子どものことについて話をする「〇〇さんの親」という肩書きを横に置いて、お祭りを楽しんでいるような姿がよく見られました。保護者が元気になる(エンパワーされる)というのは、たぶんこういうところから来るのかなと思いました。
今回は初めてほどきに来ている子ども達や保護者全体に呼びかけ、50名以上の方々に参加してもらったことに、個人的には感慨深いものがありました。これまでイベントごとはしてきましたが、人数が多いことで収拾がつかなくなる心配があり、全員へ呼びかけることは困難でした。これまでに何回かイベントを重ねながら試行錯誤を重ね、ついに実現へとたどり着きました。目に見える形がほどきの全てではないですが、ほどきに来ている人達が集まって遊んでいる光景を前に、ほどきのとっとが積み重ねてきた歩みの一端に触れたような気がしました。もちろん大人数が集まるお祭りに対して抵抗感のある子どもがいたり、ほどきに関わっていない人達の参加が限られてしまったなど、今後の課題は残されていますが、だからこそこれからの歩みを通して、より多様な人達が関わっていく場を地道に創っていきたいと思っています。
(りょうた)