名前の呼び方を考える
どうも!ブログ初登場のあいらさんです。
今回は、ほどきのとっとの活動を通して私が感じた、名前の呼び方のもやもやについて考えていきたいと思います。
【はじめに】
ほどきのとっとでは、相手の名前を呼ぶ際の呼び方について、決められたルールはありません。
「○○さん」「○○ちゃん」「○○くん」「○○氏」など、子供たちはお互いのことを様々な呼び方で呼び合っており、苗字よりも名前で呼んでいる人が多い印象です。
また、スタッフ間では、事前にお互いを何と呼んでほしいか確認をとっており、その呼び方(あいらさん、鳥さん、淳ちゃん、りょうたさん)で呼びあっています。
子供たちはスタッフ同士がお互いを呼び合う様子を見て、同じ呼び方で呼んでくれます。時々、「先生」「愛知県さん」「まえおか」「鳥ちゃん」「じゅんこ」「かたつむりまいまいさん」など違った呼び方をする子もいます。
あだ名や呼び捨てなど、一見するとバカにしているのか?と思えるものもありますが、子供たちの口から出るその名前には嫌味な感じは一切ありませんし、もしも呼ばれる側が不快に感じたら、「そうやって呼ばないで」と言ったらやめてくれます。
一方、日本の会社や学校などではお互いのことを「さん」付けで呼ぶことが多いと思います。その多くは慣習によるものだと思われますが、一部の学校などでは苗字に「さん」を付けて呼びましょう、ということが規則として定められていることがあります。
自分のことをどう呼んでほしいか、相手のことをどう呼びたいか、という気持ちに関わらず、全体として呼び方を統一してしまうことには違和感を覚えますが、同時にメリットもあるな、と考えます。
では、そのメリットとは具体的になんでしょうか?
【「さん」付けで呼ぶメリット】
1つは、呼ぶ側が呼ばれる側をどう思っているかに関わらず、「さん」付けで呼ぶことで「相手を敬う気持ち」を表現できるということです。相手の年齢や立場の違い、また、好きか嫌いかに関係なく敬称を付けることで、「私はあなたを対等に扱う」というメッセージを送ることができます。これは、人間関係の衝突を減らすクッションのような役割であるとも言えます。
もう1つは、呼ぶ側が呼ばれる側のジェンダー・アイデンティティー(性自認)を決めつけてしまい、呼ばれる側が不快に感じる、といった事態を避けることができることです。
例えば、身体の性が「男性」であるが、性自認は「女性」である人に対して、「○○くん」と呼び、呼ばれた側が「自分は男性である」と相手に勝手に決めつけられたように感じ、嫌な思いをする、という場合が考えられます。この場合、呼ぶ側に悪意がなくても呼ばれた側の人に悪い印象を与えてしまします。「○○さん」と呼ぶことで相手の性自認を知らなくても、相手を不快にさせることなく円滑なコミュニケーションを図ることができます。
他にもメリットはあるかもしれませんが、とりあえず今回は以上の2点を挙げてみました。
【「さん」付けで呼ぶデメリット】
次にデメリットを考えたいと思います。
先に「さん」という敬称を付けることは、「人間関係の衝突を減らすクッションのような役割」があると書きましたが、一方で「壁」にもなりうるな、と考えます。
どういうことかというと、例えば、相手と「仲良くなりたい」と思っているとき、相手のことを呼び捨てで呼んでみたり、あだ名で呼んでみたりすることがあるかと思います(私はあります)。
そんな時、「○○さん」としか呼んではいけないという規則があり、呼び捨てすると注意されるとしたら、「仲良くなりたい」という気持ちを伝える手段を一つ失うことになり、ちょっと不便だなーと感じます。呼ばれる側としても、呼び捨てで呼んでもらえて嬉しいな、と思っていても、第三者に注意されることでその気持ちをないがしろにされたように感じるかもしれません。
【結論】
以上、「さん」という敬称を付けて名前を呼ぶことのメリットとデメリットについて考えてきましたが、個人的には
・相手がどう呼んでほしいか聞ける場合は、相手が呼んでほしい呼び方で呼ぶ
・相手がどう呼んでほしいか確認できない場合は、「さん」をつけるか、周囲の人がその人のことを呼んでいる呼び方で呼ぶ
でいいのかな、と思っています。
【さいごに】
ほどきのとっとに通い始めて1カ月以上経つのになかなか私の名前を呼んでくれない子がいました。特性として人の名前を覚えられない子もいますが、その子はそうではなく、他のスタッフの名前は呼ぶのに私の名前だけを呼ばないのです。覚えてくれてないのかな、さみしいな、と思っていましたが、先日やっと「あいらさん」と呼んでくれました。「ようやく認知された!」と内心喜びました。名前を呼ばれるって嬉しいですね。ほどきのとっとは、相手が嬉しくなる呼び方でお互いのことを呼びあえる場だなあと感じた出来事でした。
(あいら)