支援のツボ
~時間の量はどのくらい?~
学校の宿題を持ってくるけど、まず遊びたい子のお話です。
満足したら気持ちを切り替えられるかなと、後半に宿題の時間を約束して活動に入るけど、その時間が来るとだんだんイライラしてしまい、帰る前に取り掛かり終わらない宿題に焦ってしまう・・・
わたしたちはそんなとき、どんな言葉をかけようか?本人は遊んでからがいいと言うけどやっぱり最初に宿題がいいな、と思ってしまいます。どんな言葉をどのタイミングでかけようとその日その時の気分によるもの。
そんなとき、訪問支援のための支援会議のチャンスがありました。その子がいつも過ごしている支援学級には、鏡の横の身だしなみチェックのポイント、ランドセルの中身を整理しておくかごなど、視覚的な支援がたくさんされていました。その会議の中で、ほどきのとっとで宿題をしているけどあまりうまくいってないことを保護者の方に相談しました。学校の先生がくださったヒントは「スケジュール」でした。自分で宿題をするタイミングを決めるのがポイントです。保護者の方は子どもさんと宿題のことについて話してみると言ってくださいました。
これをスタッフで考えていきました。「宿題」というワードを聞くとあまりいい表情をしないのにスケジュールを組み立てられるかな?宿題3つのうち一つでも出来たらOKにしてもらおう、できなかったら家でやってもらおう、という意見がでました。でも、“じゃあ宿題はしなくていいよ“と言われたとき、その子はどう思うだろう?本当にやりたくないのだろうか?なんか違う気がする。やらなければならないことをやった方がいいことは分かっている。だから帰りの時間を過ぎてしまっても自分で決めたところまではやらなければ気が済まない。それは「ほどきで宿題をやる」という思いのある姿ではないか?
その中でひらめいたのが「時間の量を見える化するのはどうだろう」
療育の場ではタイムタイマーが使われることがあります。時間の量が分かるものです。それをヒントに時計の文字盤と15分、20分の大きさを表す色紙を用意しました。文字盤の上に重ねて、時計が一周するまでにどのくらいの時間宿題をするのかが分かるようにしました。ほどきの活動時間は16:30~18:00です。その子は「5時10分からにする」とスタッフが進めた20分の方を選びました。活動の終わりでも最初でもなくど真ん中!しかも5分長いほう!自分で選ぶ、自分で決める、決めたことを実行するこの訓練は自律につながる大事な力になります。
訪問支援でその子が生活している場所を見させてもらうことで、どんな力を持っていてどのくらいの手立てがあればわかりやすいかを理解することができます。これをほどきのとっとの環境の中でさらにその子に合ったものにしていく、そしてその情報を学校や保護者と共有することで、子ども一人を中心にした支援の在り方を探っていくことができるのではないかと、訪問支援の意味や面白さを改めて感じました。
私たちがサポートするのは、「宿題をやりたくないからいらいらするんだ」と見立てるとやらなくてもいいようにするのが妥当でしょう。でも「やらなくてもいいよ」と言われても安心できないのは、やったほうがいいことは分かっている。つまりやるかやらないかで言えば「やる」というのがその子の答えなのではないかと思いました。「いやだ」という行動や言葉とは裏腹な本当の思いを汲めたとき、納得があるのはないかと思います。
この日、日本地図の都道府県を覚える宿題をしていたその子は、20分を過ぎても日本地図のパズルを繰り返しやっていました。学習をしようとするとイライラするからといって嫌いなわけではない。嫌いなら日本地図も一回見れば十分だったはずです。でもパズルを使って遊びながら楽しそうにしている様子を見ていると、大人の判断で「嫌い」なんだと判断してはいけないなと思いました。
{とりさん、今日は15分で}
顔を見ると自分から宿題を15分間やるという意思表示をしてくれるようになりました。
定着してきたなと思っていたある日、タイムタイマーが行方不明になったのです!!「せっかく定着してきたところだったのにー( ノД`)」と思っていると、ナーフで遊んでいた彼女は思いついたようにメモ帳を取り出してきて「15分コース」「20分コース」「30分コース」と書いたのです!それを小さなカラーコーンに巻き付け的あてを始めました。30分コースだけは机の上にぺったりと置かれ、当たらないようにしてありました(笑)「15分コース」をよーく狙って見事に当てると、次は「5時45分コース」「5時30分コース」と書いて、宿題を始める時間もまた的あてで決定しました。こうして宿題に取り掛かるまでの時間も宿題のことを考え続けていました。遊びながら納得することができると、気持ちは切り替えられるものです。そしていつも思うのは、やらなきゃいけない面倒な宿題は、それでもその子にとって大事な生活の一部となっているということです。

{嫌いきらいも好きのうち}
“〇時になったらしようね“”〇時までにやってね“”約束したのにどうしてやらないの?“”もう時間すぎちゃってるよ!“こういうやりとりはあるあるですね。どうして伝わらないんだろう?と悩んだり、切り替えのできない姿が課題に見えたりします。
私が大事にしたいことは、まずは「やりたくなーい、やだー!」と言えること。でも「やだ」の中身はその子にしかわからないのでよく知ろうとすること。そして嫌ならやらなくていいのか、少しだけならやってみたいのか、自分で決めることです。自分の気持ちを大事にしてもらえたと感じるとき、子どもは安心して自分のありのままの思いを大切にできるのではないかと思います。(とりかい)


