けんかのあとの仲直り
今日は手作りおやつの日。室内にはクッキーの焼き上がる美味しい匂いが立ちこめていました。焼きたてのクッキーにチョコペンやスプレーチョコでトッピングをして食べました。さて、もうすぐ帰りの時間になるから、みんなでかくれんぼしよう!ということになりました。穏やかな一日が過ぎようとしていました。
一人の男の子が、階段下の物入れのスペースの扉を開けて隠れようとしました。少し前からちょっとした衝突があった女の子は、男の子が入った物入れの扉の取っ手に鉛筆を差し込んで鍵を掛けようとしました。男の子はすぐに気付いて出てくると「なんでそんなことするだ?」と怒りました。みんなその様子に驚きかくれんぼどころでなく集まってきました。
女の子はどうしていいか分からず、他の部屋の押し入れに隠れていました。
まずは男の子のところに行き、嫌だった思いを聞きました。それを女の子に伝えると、いつもからかうようなことを言ってくるから嫌だったんだと話しました。お互いに譲らず、男の子にお願いして女の子の居る部屋に来てもらいました。はじめは面と向かって嫌な所を言い合うなんて出来ませんでした。それを見ていた一人の子が、「嫌なことがあっても言わずにいるとずっと嫌な気持ちが続くんだよ。私もそんなことがあったから分かるよ。話した方がいいよ。」と、二人のパイプ役をしてくれました。三人で進む話し合いに大人の意見なんて必要ありませんでした。なるべく口を挟まず見守っていると、女の子はこらえきれない思いをスタッフの背中にぶつけていきました。最初は細くて茶色い紐を裂いた“藁”のような物をTシャツの中に入れてきました。自分の気持ちを頑張って話そうとしてるんだから、これくらい許そうじゃないか。
ところが、「文句言うならほどきに来るのやめたら。」という男の子の一言で、女の子は目の前にあった新聞紙を握りしめ「なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ!!」ともう一触即発の怒りがこみ上げてきました。スタッフの後ろに回り、力の限り新聞をビリビリに破くんだろうと思っていたら、さっきの藁と同じように、スタッフのTシャツの中にぐしゃぐしゃ!ぎゅっ!と入れられていくではありませんか!!!
子ども同士で叩き合いになるよりは、いいんです私の背中で済むならぜんぜん。貸しましょう背中くらい。怒りをコントロールしながら、今までのモヤモヤとした気持ちを出し合うことができたら、これからにつながるかもしれない。だんだん膨らむ背中に願いを託しながら、なんとか話し合いを続けました。お互いに思いをぶつけ合い、もう出し切ったかなと思うタイミングで、「帰ろう」と誘いました。二人は同じ車に乗り、スタッフが送り届ける日だったのです。
新聞紙がパンパンに詰まったマッチョなスタッフが運転して、帰りの車が発車すると、二人はさらに、力こぶ用の新聞紙を詰め、マッチョのボディーを作り続けました。大笑いしながら!!「背中の厚みで運転席が狭いわ!」と言うと大喜びです。
そして、女の子は、「久しぶりにたくさん笑った!笑ってこらえてより面白かったわ!」「もう仲直りはできた。(けんかは)おしまいだよ。」と言いました。
仲直りって、何がいけなかったか考えること、お互いの気持ちに気付いて謝ること。
真剣に話して、真剣に聞くこと。
それだけではないことを私に教えてくれました。“一緒に笑えること“
みんなが同じ思いではないことは知っています。だからけんかは起こるけど、面白いことが一緒に出来たことだってあったじゃない。一つ嫌なことがあったら全部やだって思うこともある。でも、一緒に過ごしたたくさんの時間の中で、いいところもいっぱい知ってるんだ、と思えるとき、もっと仲良くなれるんだろうと思いました。そうやって人とつながり、お互いを理解していくことが、社会で生きていく大きな力になるだろうと思います。
ほどきのとっとのある一日のできごと。ほどきのけんかのほどき方。(とりかい)
おしまい


