テレビカメラマンになったストカールさん
先日、ストカールさんの学習発表会に行ってきました。
去年はなかなか舞台に立てず、楽器演奏の時に全員が正面に立って演奏する中、体育館の外から木琴を少し叩いては外に出ていき、戻ってきて木琴を少し叩くといった状況でした。
今年は宿泊学習を通して学んだことをニュース番組の形式で発表するというものでした。ストカールさんはどこにいるのかなと探していたら、放送席に座っていました。開演時間になると、ストカールさんがマイクを握りました。
お!なんかしゃべるのか?
「これから・・・え?」
大きな「え」をマイクが拾いました。先生と何かを確認しているように見えました。
いや、もうマイクや観衆のことは気にしなくていい。そのままいくんやー!
「・・・発表を始めます。お願いします。」
「おねがいします!」
ストカールさんに続いて、クラス全体が挨拶。
ニュース番組が始まりました。ナレーター役、現地の人役、生徒役。様々な役が登場して、大きな動作を交えながらセリフを言っていきます。
ストカールさんの次の出番はいつだろう?
すると端の方から全身黒の服に黒の帽子を被った黒づくめのストカールさんが、もじもじしながら現れました。
何の役かはわかりませんでした。
ストカールさんをよく見ると、黒い箱のようなものを持っており、そこに「○○TV」の文字が。
まさかのテレビカメラマン!?
終始照れくさい表情でニヤニヤしながら、観客を見て「おえ~~~」という吐くような仕草をしたり、帽子を深く被ったりしていました。そりゃあ、吐くくらい緊張するよな~。
前に立っているだけで緊張しているので、カメラは人に向けたり向けなかったりですが、それでも舞台に立ち続けていました。
舞台の上ではウロウロしているのですが、特に違和感はありませんでした。なぜならテレビカメラマンなのですから。ウロウロすることと演じる役割がマッチしていました。こういうことも、友達と同じ舞台に立ち続けられた理由なのでしょう。
劇の後半。農家さんにインタビューをするシーン。農家さんの前に堂々と立つストカールさん。他の役の人なら「農家さんに被ってる!」「観客から見えない!」となるはずです。ただストカールさんだけは全く問題ないんです。なぜなら彼はテレビカメラマンなのですから。私達はカメラを通してニュースを見ているという設定なので、問題ないのである(農家さん役の保護者以外は)。
そして農家さんがピーマンの肉詰めを作って生徒に配るシーン。農家さんが箱からピーマンの肉詰めを取り出していると、テレビカメラマンも箱の中に手を突っ込んで配り始めました。これは農家さんへの優しい配慮か、テレビの尺を考えてのどちらかなのでしょう(笑)。
最後に全員で歌を歌うシーン。前を向いたり横を向いたりしていましたが、、、
口が動いている!歌を覚えている!
歌が終わって隣にいる友達の後ろにスーッと隠れました。
1人の友達が「これで発表を終わります。ありがとうございました!」と言うと、逆にスーッと前に出てきてクラスの友達と「ありがとうございました!」と言って幕を閉じました。終わってみると、クラスの中で1番出演時間が長かったです(笑)
ストカールさんの大きな成長を感じた時間でした。
そしてその成長を支えたのは、おそらく友達や先生の存在でしょう。舞台で間違ってもOK、ウロウロしてもOK、人と被ってもOK。でもストカールさんにいてほしい。そんなゆるくつながれる集団に、ストカールさんは支えられてきました。
去年のストカールさんはちょっとした声掛けだけでもイライラ爆発につながっていました。なぜイライラが起こりやすいのかは、当時はハッキリとせず私を含めた周りの人達は頭を抱えていました。しかしこの1年を見ていると、集団の中で認められる機会が必要だったんだろうなあと思います。ストカールさん個人だけを見ていると、イライラを自分で対処するアンガーマネジメントのような話になりがちです。しかし本人が根本的に求めていたのは、友達や先生との関係の中で「ストカールさんにいてほしい」と認められている感覚だったように思います。
舞台から降りて歩いてきたストカールさんは、私の姿を見ると照れ臭い笑顔を一瞬見せて走っていきました。
(りょうた)


