「引っ張る」から見る発達
ストカールくんの学校訪問に行ってきました。
姿を見せると気が散ると思われたので、教室の外から耳をそばだてて声を聞いていましたが、びっくりするくらい静かで、本当にストカールくん本人がいるのか疑うほどでした。
休憩時間にストカールくんに会うと、
「なんでおる~!(笑)」
と驚きながらも嬉しげな表情でした。
学校にはストカールくんの他にも知り合いの子ども達が多くいて、私に何人も声をかけてくれました。子ども達が持ってきたクワガタを見ながら、クワガタ話に花を咲かせていました。
するとストカールくんがやってきて、
「こっち来て~!」
と私の腕を引っ張り、教室に連れて行こうとしました。
私はストカールくんに引っ張られながら、「なんちゅう成長や!!!」と目を見張りました。
彼の「引っ張る」には、これまでとは異なる2つの発達があります。
1つ目が、「調整」です。以前のストカールくんであれば、「こっち来い!」とグーパンチが飛んできていました。力を込めた勢いのある行動です。しかし「引っ張る」という行動は、(定位的な)調整をしないとできないことです。例えばただ思い切り力を込めるのではなく、相手の腕をつかめるように力を加減する「運動の調整」、相手のどの場所でも良いわけではなく、相手の腕に合わせて自分の手がつかめるようにしようと意図する「心の調整」です。
2つ目が、「思いと行動の結びつき」です。ストカールくんは「こっちに来てほしい」という思いを持っていても、その思いの表出の仕方が「殴る」になってしまうことがあります。「殴る」になる理由は、思いが強すぎて勢い余ってしまった時の結果であったり、言葉にすることの難しさ、相手と対面した時の恥ずかしさなどがあります。しかし「引っ張る」という行動は、「こっちに来てほしい」という思いに合致しています。「殴る」という行動に結びつかなかったのは、先ほどの調整や言葉の発達が関係しているでしょうし、この数ヶ月で運動会や宿泊学習など、集団の中で活躍できる場面を積み重ねてきたことで、人と関わる恥ずかしさが少しずつ和らいできたからなのかなとも思います。
次はプールがあるということで、水着に着替えたストカールくんは、「プールも見に来て!」と私を誘ってくれました。彼に引っ張られてどこかへ行くことに心が動いてしまった私を止めるものは何もなく、ストカールくんにひょこひょことついていったとさ。
(りょうた)

