コロナ禍の電話

「プルルルルルル」

 電話が鳴る。

「はい、もしもし」

「・・・」

「もしもし?」

「・・・まえおかぁ~~~」

 ストカールくんである。

「どうしたん?」

「だ~れだ!」

「ストカールくん!」

「はは(笑)!!!」

 ブチ!・・・切れた。

 最近、ストカールくんの電話が多くなってきたような気がする。

 さあ、仕事仕事。

「プルルルルルル」

 また電話だ。

 ストカールくんだろうな。

「はい、もしもし」

「はは(笑)!!!」

「どうしたん?」

「コロナでやすみになった」

「学校、休みになったの?」

「うん、せっしょくしゃになった」

 ストカールくんはコロナ関係でどこにも行けなくなった時に、電話をかけてくる回数が増える。外で遊びたいし、人と会いたいのに、それができなくなってしまうのは子どもにとっては非常につらい。

 コロナという目に見えないものが危ないから家に居なさいと言われ、「接触者」というよくわからない言葉を名付けられ、この圧倒される情景をストカールくんがどのように感じているのか気にかかる。

 いや、ストカールくんだけではない。ほどきに来ている他の子ども達も同じだ。「感染者数が過去最高」という連日の報道で漠然とした不安を抱えたり、少しでも体調に変化があると自分が人に感染させてしまうかもしれないと過度に心配してしまってほどきを休む人がいる。少なくない子ども達が心の置き所を失い、なんだか落ち着けていないように感じられる。

 そんな私の気がかりをよそに、ストカールくんは話を続ける。

 「この前、魚釣りに行ったで。魚7匹持って帰ったで。」

 「へ~、いいなぁ~。行きたいな~。」

 「コロナが終わったら行こ~。」

 コロナが落ち着いた後の世界について、誰かと思いを馳せること。それが心の置き場の作り方の1つなのかもしれない。ストカールくんは家にいても電話を使って人とつながり、心の置き場を作ろうとしているのではないか。私も人の子なので正直何度も電話をかけられると面倒になってスルーすることもあるが、彼からの電話はコロナ禍を生きていくための大事な手立てなんじゃないかと思わされる部分もある。

 どこまでコロナの対策をし、どこまでリスクを引き受けて、どのような形で魚釣りに行けるのかを調べて考えることが私の役割だ。そしてストカールくんの役割はというと、

 「場所教えてあげる!前に行って~、右と左があって~、真っすぐ行ったら見える〜!」

 場所案内である。

(りょうた)

 ブログの内容とは関係ありませんが、とある男の子がイケてるほどきのTシャツを作ってくれたので写真を載せておきます(本人の許可はもらっています)。