学校の風通し

 平日の午後3時。

 私は事務室でパソコンとにらめっこ。

  「りょうたく~ん」

 年度初めは書類作成が多くなる時期です。

  「りょうたく~ん」

 早く締め切りが迫った書類を作らなけれ・・・

「りょうたく~ん!!!」

 なんか外から声が聞こえる!!!

 窓の外を見てみると、私が「プロ」と呼ぶ子どもでした。

 彼はほどきの「事業」を使っているわけではありませんが、会議中だろうが休みの日だろうがよく遊びに来ます。

 彼もストカールくんと同じ、曖昧な線を引いてくれる人です(「曖昧な線」については前回のブログを参照)。

 彼は魚を捕るのがとにかくうまいのです。この前も30匹以上は捕っていました。

 近所の友達と一緒に魚捕りに行った時も、捕った魚の数はダントツでした。

 だから私は彼のことを「プロ」と呼んでいるのです(本人も自称しています)。

 プロは魚捕りになると生き生きするのですが、学校では様子が異なります。授業にはほとんど入れず、よく物に当たったり友達や先生と衝突して孤立感を深めているのです。

 さて話を戻します。

 学校帰りでランドセルを背負ったプロは

「魚捕るけえ網貸して~」

と言い、網を持って近くの川へ向かいました。

 この時に気になったのが、プロの近くに大人が1人いたことです。

 誰だろう?保護者かな?近所の人かな?

 とりあえず挨拶も兼ねて声をかけてみることにしました。

 するとなんとなんと、赴任して来られたばかりの教頭先生だったのです!

 小学校からこの辺りまでそこそこ距離がある中、プロに誘われて歩いてきたらしいのです。

 教頭先生は川べりから「どう?魚いるか~?」と一緒に魚を探していました。

 もはや友達だ…

 プロは嬉しそうに何度も呼びかけます。

「教頭先生!教頭先生!大きいエビ捕ったよ!」

「教頭先生!教頭先生!なんでこんなところに魚がいるんかな?」

 気がついたら子どもと一緒にブラブラと帰り、魚捕りをしていた教頭先生。プロの好きな魚捕りにじっくり付き添うこと、そして予め約束していたのではなく気づいたらついてきてしまっていたという組み合わせがなんともいいなぁ。プロだけでなく、学校全体にとって心地良い風通しになるように思います。学校の子ども達が何かに向かって頑張る中で、自然と肩の力はスッと抜けていくような空気感が感じられるのです。学校は頑張り続けて「できた!」ということの達成感を味わえる場所だからこそ、そういう風通しの良さは学校のどこかに作っておきたいなと思うのです。

「じゃあそろそろ帰ろうかぁ」と教頭先生。

「え~!俺の家までついてきてよ~」

「これから学校で会議あるんだけどな~。どれくらいかかる?」

「すぐそこ。10分くらい。」

「う~ん。じゃあ家まで行こうか~。」

まだ……ついていくんだ………(笑)

(りょうた)