立ち寄る場所

 ストカールさんのクラス(支援級)に行った時のこと。

 授業が始まろうとした時、「せんせ~い」とやってきたのはプロでした。

 (「プロ」とは、以前のブログで登場した、魚捕りが上手い「プロ」と呼ばれている子どものことです。)

 先生はプロに声をかけます。

 「なんでここおるん?授業ちゃうんか?」

 「え~、だって~、めんどくさいんだも~ん」

 「今、何の授業やっとん?」

 「学級会。お楽しみ会の話し合いだって。」

 「お楽しみ会やろ?好きなこと提案したらええやんか。」

 「え~…。」

 プロは友達と話し合いをすることが苦手なのです。少しずつ通常級で授業を受けられるようになってきていますが、頑張れなくなったり不安になったりした時、プロは助けを求めるようにふらっと支援級にやってくるのです。

 先生は不意に戸棚からトランプを持ち出してきました。

 「ええもん見せたるわ。今からマジックするからな。」

 ストカールさんを含め、子ども達が先生の前に座りました。先生は3枚のカードを用意しました。1枚はハートのエースです。3枚のカードを1枚ずつ見せてカードを確認してもらった後、3枚のカードを裏返して置き、2回ほどゆっくりカードを動かします。最後にハートのエースがどこにあるのかを当ててもらいます。

 動きはゆっくりなので、どこにカードがあるのかは一目瞭然です。しかし子ども達が「ここ!」と言ったカードは、「ざんね~ん」とことごとく外れてしまいます。プロは「どうやったの!教えて!」とせがみます。「え~、教えたくないけどな~…。じゃあ特別に教えたるわ。お楽しみ会でやってみ。教えたら教室に戻りよ。」と先生は言って、種明かしをしてくれました。

 プロは「あ~、そういうことか。」と納得したようで、1人で教室に戻っていきました。

 学校の中に自分のクラス以外でふらっと立ち寄って元気をもらえる場所は、プロが学校に通い続けるために必要でした(もちろん彼が所属するクラスづくりなど、彼の安心感を考えると取り組むべき課題は他にもあります)。学校によって立ち寄っても良い場所は異なるとは思いますが、支援級に限らず保健室や相談室、図書室など、自分のクラスの外側で思いを聞いてもらったり、気分を変えてもらえる場は、子どものちょっとした、でも実は大きな支えだったりするのかもしれません。

(りょうた)

ほどきの近くの湖畔です。とても静かで落ち着く場所です。