遊びがつながる

 今日は何をしようかな。音楽や車が好きなトオルさんと一緒に、ほどきの2階へ行ってみると、年齢の近いマイさんがスタッフのカナさんと、人や動物、家などのミニチュアフィギュアを使ってごっこ遊びをしていました。それを見たトオルさん、すごく一緒に遊びたそう…。マイさんと、カナさんの周りをうろうろしたり、近くのフィギュアをひょいと取ってごっこに入ってみたり、一緒に遊べないか考えます。

 一方でマイさん。大好きなスタッフのカナさんと今までたくさん楽しい世界をつくってきました。そこに急に割って入られるのが嫌なようで…少しの間はトオルさんをごっこ遊びに入れてくれましたが、急に表情が変わり「もうそろそろ下に降りてくれませんか?」「じゃぁバイバイ!」と何度も私たちをその空間から遠ざけようとします。とうとう私たちが部屋を出た瞬間、“バタン!!!”とドアを強く閉められてしまいました。

「どうしようか…このまま別々の活動を創っていこうかな」

 そんなとき、マイさんのために車のフィギュアを探しているトオルさんの姿がありました。トオルさんは諦めてません、まだ一緒に遊びたい、そう強く思っているようでした。

 車のフィギュアを探し終え、2階に上がり、閉まったままのドアの前で「よし!まずはノックしてはいってみようか」と声をかけ、入ってもいいか中にいるマイさんに声を掛けると、表情は曇ったままでしたが、中に入れてくれました。多分いきなり自分の世界に割って入られたのが嫌だったのかな…。

 まずはマイさんの世界の近くにトオルさんの新しい世界を創ることにします。プラレールの線路をつなげ、電車を走らせたり、マクドナルド、ガソリンスタンド、学校など、トオルさんの素敵な発想が少しずつマイさんの興味を引き付けます。そしてマイさんの世界にお邪魔するときは、私から「ここは車が通ってもいいところかな?」と確認しながら2人の距離を縮めていきます。

 1人では思いつかなかった“面白そう”が広がっていること、自分の大切な世界を守ってくれること。

 この2つがマイさんの心地よさにつながり、「トオルさん、この子を電車で学校まで送ってくれない?」と2人の間でも会話が生まれてきます。電車や車がお互いの街を行き来したり、「こうしよう、ああしよう」と相談しながら、別々だった世界がつながり始めます。

 マイさんはトオルさんの世界を「トオちゃん村にしよう!」と名付け、持っていたフィギュアを2つ、「これそっちの学校の専用フィギュアにしてもいいよ!!」と貸してくれました。トオルさんもそれが嬉しかったのか、「トオちゃん村」と紙に書いたり、ニヤニヤしながら何度も口ずさんでいました。

 マイさんの「もう少し車があった方がいいかも!トオルさん、車ってまだある??」。そんな問いかけに、「ちょっとまって!とってくる」と返すトオルさん。1階に降り、車のフィギュアを探し階段を上ると、「早く来て!」と言わんばかりにドアは大きく開いたままでした。

(まっきー)